
香川県が進める旧県立体育館の解体工事を中止するよう近隣住民が求めた仮処分の申し立てを、高松地裁が30日、退けました。
旧香川県立体育館の近隣住民が2026年6月に申し立てていたものです。
旧県立体育館を巡っては、民間資金での再生を目指す団体が2025年11月、解体工事費用の支出差し止めを求める住民訴訟を起こしていますが、県は2026年4月に解体に着手。
争点となっている建物の耐震性を調べるため、被告の県は裁判所の要請を受けて解体工事を1カ月間中断しましたが、鑑定結果を待たず、10月15日から工事を再開しています。
「公金支出の違法性」を訴えて解体工事を止めることを求める住民訴訟に対し、仮処分申請は近隣住民が申立人となり、民事保全法に基づき「景観・生活環境利益の保全」を求めるものです。
仮処分申請は、通常の裁判の結果を待っていては取り返しがつかない不利益が生じる場合、裁判所に一時的な措置を求める法的手続きで、審理期間が短いのが特徴です。
30日午前、仮処分を申し立てた近隣住民が高松地裁を訪れ、決定文を受け取りました。再生委員会の長田慶太委員長も同行しました。
(旧香川県立体育館再生委員会/長田慶太 委員長)
「『法的保護に値するものとまでは認めることができない』。くそ、入り口がやっぱり難しい。入り口やな、やっぱり…」
高松地裁の野上誠一裁判長は決定の中で、「旧県立体育館が高い建築的、文化的価値を有している」とする一方、「眺望の観点から不特定多数の人を誘引する建築物として認知されているとはいえない」と指摘。
「建物が存在していることで申立人が得られる眺望利益や生活環境利益は法的保護に値するものとまで認めることはできない」などとして、申し立てを却下しました。
(記者リポート)
「決定の最後に裁判長は、『解体工事の当否等について判断したものではない』と記しました。そして、異例とも言えるのが、別の住民訴訟についてあえて触れたことです」
決定文で裁判長は、「住民訴訟では原告による現地調査の結果を踏まえた鑑定に向けた検討・準備が進められていて、解体スケジュールも踏まえつつ、可能な限り迅速に手続きを進めていくことが重要だと考えている」としています。
(旧香川県立体育館再生委員会/長田慶太 委員長)
「期待はしてましたから残念ではありますけども。(決定文の)後半はメッセージ性が強いので、それを考えると、『今後こっち(住民訴訟)で頑張ろうよ』みたいなメッセージには少し見えますよね」
今回の仮処分申請と住民訴訟でともに代理人を務める西山喬祐弁護士は「解体工事の当否については裁判所も問題意識を持っていることがうかがえる」としています。
高松地裁の決定を受け、香川県は「県の主張が認められたものと認識している。複数の安全面でのリスクをできるだけ早く取り除くため、引き続き解体工事を進めていきたい」とコメントしています。